Gibson Les Paul Custom LP 35th ANNIV Anniversary 3PU EB GOLDはどんな楽器?
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ギブソンの象徴であるレスポールの、最高位に位置づけられるレスポール・カスタム。今もなお、多くのギタリストを魅了してやみません。
本記事では、1989年に発売された「Gibson Les Paul Custom LP 35th ANNIV Anniversary 3PU EB GOLD」をご紹介します。
Gibson Les Paul Custom LP 35th ANNIV Anniversary 3PU EB GOLDの仕様
レスポール・カスタム(以下カスタム)の誕生35周年を記念したモデルです。
主な仕様は、以下のとおりです。
- ボディカラー:ブラック
- ボディ:マホガニー(トップ&バック)
- ネック:マホガニー
- 指板:エボニー
- ピックアップ:ハムバッカー×3(オリジナルPAFの復刻版)
- 重量:約5kg以上
ジャンボタイプのフレットやゴールドハードウェアが採用されているほか、「35th Anniversary」と刻印されたヘッドのスプリットダイヤモンドインレイなども特徴です。
1989年の通常のカスタムは、トップ材がメイプル(1968年以降のカスタムはメイプルトップ仕様)、2ピックアップ、刻印のないインレイでした。
現在では、指板材のエボニーも入手困難なために人工木材の「リッチライト」が採用されています。
Gibson Les Paul Customの歴史
1952年、ジャズギタリストのレスポール氏はロンドンのサボイホテルにて、妻メアリーフォードと共に自身のシグネチャーモデルを発表します。
2年後の1954年に、レスポールの上位機種として発売されたのがカスタムです。
レスポール氏は「フォードやシボレーといった車には多くのモデルがあるように、自身も違うモデルを1本持っておきたかった」という理由から、ラインアップにカスタムを加えました。
黒の塗装から「ブラック・ビューティ」と呼ばれ、白いタキシードに似合うギターとして開発されたことは広く知られています。
しかし、ギブソンにはアメリカの楽器メーカーならではのしたたかな一面もあったのです。
Les Paul Customのボディがブラック塗装である驚きの理由
黒の塗装は、市場価値のない木を高く売るための手段でした。
当時、杢目が目立たないホンジュラス産の「クリアマホガニー」は貴重品である一方、派手な杢目のマホガニーは低品質とされていて、入手も簡単だったようです。
当時のギブソンは、杢目の入ったマホガニーを黒く塗って派手な装飾を加えて「上位機種」として高値で販売していたのです。
しかし、ギター制作は仕入れから完成までの80%以上も「乾燥工程」が占める[3] ので、自然乾燥なら20~30年は要するはず。
仕入れて販売というよりも、頭を抱えていた二束三文のマホガニーの在庫を消化していたのではないでしょうか。
在庫を一掃できてお金にもなるレスポール氏の提案は、まさに「一石二鳥」だったのでしょう。
製作者の考え
「Les Paul Custom LP 35th ANNIV Anniversary 3PU EB GOLD」は、1959年製のカスタムを再現したモデルといわれています。以下は、その根拠となる理由です。
- 「9」から始まるインクスタンプのシリアルナンバー
- オリジナルPAFを再現した3基のハムバッカー(生産期間は1989~1990年頃だけ)
- オールマホガニーボディとエボニー指板
再現性の高さや通常モデルとの差別化からも、製作者が1959年製カスタムに敬意を表した特別なモデルであったといえます。
発売当時のカタログには掲載されていなかったことから、良質な木材が手に入らないなど「多く制作できなかった」などの事情があったのかもしれません。
Gibson Les Paul Customを使用するミュージシャン
「Gibson Les Paul Custom」を使用するミュージシャンです。
ミュージシャン名 | 愛用ギターの年式/カラー/仕様 |
ジミ・ヘンドリックス | 1955年製/ブラック |
ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン) | 1960年製/ブラック/ビグスビー仕様 |
エース・フレーリー(KISS) | 1970年代/サンバースト/メイプルネック仕様 |
スティーブ・ジョーンズ(セックス・ピストルズ) | 1974年製/ホワイト |
ザック・ワイルド(オジー・オズボーンなど) | 年式不明/ブルズアイ/EMGピックアップ |
ランディ・ローズ | 1964年製/ホワイト |
鮎川誠(シーナ&ロケッツ) | 1969年製/ブラック |
PATA(X JAPAN) | 1973年製/ブラック |
オリジナルである1960年代のカスタムが好まれる傾向にあり、「Gibson Les Paul Custom LP 35th ANNIV Anniversary 3PU EB GOLD」を使用している有名ミュージシャンは現在いません。
上記で個性的なのは、ザック・ワイルド氏のカスタムです。ブルズアイやEMGピックアップにより、見た目でもサウンドでも大きなインパクトを与えたかったのではないでしょうか。
まとめ
「Gibson Les Paul Custom LP 35th ANNIV Anniversary 3PU EB GOLD」の取引価格は近年上昇しています。
生産本数の少なさだけでなく、マホガニーやエボニーといった木材の希少価値も高くなっているからです。恵まれた機会があるのなら、ぜひ弾いてみてサウンドや弾き心地を味わってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。