【ローランド VP-330 Vocoder Plus】ボコーダー・サウンドの代名詞 | ART & BEATS

【ローランド VP-330 Vocoder Plus】ボコーダー・サウンドの代名詞

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ボコーダー・サウンドといえばローランド VP-330を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

YMOの「Technopolis」に使用されて以降、80年代初頭のダンスミュージックを一世風靡したVP-330について今回は解説していきましょう。

1.ローランド VP-330はボコーダー・サウンドの代名詞

引用元:vintage synth gallery

URL:https://www.proun.net/gallery/roland_vp330.html#

1979年に発売されたローランド VP-330(以下VP-330)は「ボコーダー」「ヒューマンボイス」「ストリングス」の3つの機能を備えたシンセサイザーです。

このVP-330のボコーダー・サウンドは「アース・ウィンド・アンド・ファイアー」や「YMO」などの著名なアーティストが使用することによって一躍有名になりました。

人間の声をまるでロボットのような声に変換可能なボコーダー・サウンドは当時のダンスミュージックにおける流行りの1つであり、VP-330は「そのムーブメントの中心的存在であった」といえます。

2.ローランド VP-330が多くのアーティストに使用される理由

ここではVP-330のボコーダーを多くのアーティストが利用する理由を掘り下げていきましょう。

前述のとおり、ボコーダーは人間の声をロボット・ボイスに変換する機能です。

そのロボット・ボイスに変換した際に明瞭度が低いと「何を喋っているか分からないただの機械的なサウンド」に聞こえてしまいます。

VP-330はこの明瞭度が他社の製品と比較して「特別高い」というわけではありませんでした。

しかし、VP-330は「何を喋っているかを聞き取れる明瞭度の高さ」と「音質の高いロボット・ボイス」という2点を非常にバランスよく備えていたのです。

加えてVP-330はコーラスやビブラートだけでなく、一定時間の音声を記憶するホールドの機能によって幅広いサウンドメイクが可能になっています。

もちろん「ヒューマン・ボイスとストリングスサウンドの音質も素晴らしかった」という点はいうまでもありません。

2.1.ローランド VP-330を使用した楽曲

それでは実際にVP-330を使用して生まれた楽曲の一例をここで紹介していきましょう。

【VP-330を利用した名曲】(アーティスト/曲名)

YMO(Yellow Magic Orchestra)/Technopolis:1979年
YMO(Yellow Magic Orchestra)/BEHIND THE MASK:1979年
Earth Wind & Fire/Let’s Groove:1981年
Earth Wind & Fire/Spread Your Love:1983年
PUFFY/アジアの純真:1996年
電気グルーヴ/ポケットカウボーイ:1997年
CASIOPEA/I LOVE NEW YORK:1999年

3.現代に引き継がれるVP-330のボコーダー・サウンド

VP-330のボコーダー・サウンドは当時のアーティストだけでなく、現代でも数多くのアーティストが使用しています。

実際に中古市場では、発売当時の定価29万5,000円を上回る30万円以上のプレミア価格で取引されることも珍しくありません。

加えて、USBやMIDIといったデジタル出力にも対応した後継機「VP-03」も発売されていることから、ローランドのVP-330サウンドに対する自信とユーザーからの人気をうかがいしることができます。

進化しながらも衰えることがないVP-330のボコーダー・サウンドは、これからも多くのアーティストに引き継がれていくことでしょう。

4.まとめ

ボコーダー・サウンドの代名詞ともいえるVP-330についての解説でした。

70年代後半から80年代に大流行したダンスミュージックで使用され、一躍有名になったVP-330には現在でも多くのファンが存在します。

多様な変化と進化を遂げる現代ミュージックシーンにおいて今なお愛されるVP-330は、ボコーダー・サウンドのルーツといっても過言ではないでしょう。

そんなVP-330の魅力を、本記事で少しでもお伝えすることができたのであれば幸いです。